生徒の「やってみたい」を実現できる企画へ――島田樟誠高校特別進学コース×ground2coffee

学校・企業・地域と取り組んだ授業やイベントを、現場の様子とともに紹介します。

島田樟誠高校特別進学コース1年生の探究の授業で、文化祭に向けたコーヒー販売企画を進めています。9月17日には、島田市でground2coffeeを営む太田圭さんを学校に迎え、生徒たちが考えた案をもとに打ち合わせをしました。生徒は自分たちで質問を考え、やりたいことと、その背景を太田さんへ伝えていました。

写真:9月17日の打ち合わせの様子

目次

ground2coffeeの太田さんが、生徒と考えたい「働く」こと

太田さんは、アピタ島田店内のコーヒースタンド、大井神社近くの古民家カフェ、本通りの自家焙煎コーヒースタンドを営んでいます。スペシャルティコーヒーやバスクチーズケーキなどを届けながら、お店を誰かにとっての帰る場所や、何かを始めるきっかけの場所にしたいと考えています。島田から、自家焙煎豆のオンライン販売やイベントを通じて、もっと広くコーヒーの魅力を届けたいという思いもあります。

今回の取り組みで太田さんが高校生と考えたいのは、「働く」ということです。コーヒーの販売を通して、お金を稼ぐことを実感してほしいと考えています。接客では、お客さまに「ありがとう」と言ってもらうための工夫や、感謝されたときの自分の気持ちにも目を向けてほしいそうです。そして、その経験を振り返り、自分は何が好きで、何を楽しいと感じるのかを知る機会にしてほしいと願っています。

「当日お店に立てるのは何人?」から始まった具体化

生徒たちは、売りたい商品や宣伝など、さまざまな「やってみたい」を持っていました。太田さんが投げかけたのは、「当日お店に立てるのは何人?」という問いです。

販売、ドリンク作り、在庫の補充、呼び込みにはそれぞれ人手が必要です。休憩も必要ですし、生徒たちは自分たちも文化祭を回りたい。その人数と時間を考えて初めて、一杯ずつ手で淹れるのか、簡単な抽出方法や作り置きを組み合わせるのか、といった提供方法を検討できます。仕入れや機材、費用負担についても、決める前に確認すべきことが見えてきました。

私は、ビジネスを考える上での前提条件を十分に整理できていなかったと生徒が痛感しているようにみえました。太田さんの問いは、生徒の案を否定するものではなく、自分たちの希望を、実際に運営できる企画へ近づけるための視点を渡してくれたのだと感じています。

写真:打ち合わせ後の集合写真

限られた条件の中で、誰かと自分たちの「ハッピー」を考える

太田さんは、安く売ることに頼らず、付加価値を考えることも伝えてくれました。たとえば、紙カップに高校生からの手書きメッセージを添えること。お客さまの喜びが、自分たち自身のうれしさにもつながるように、今ある条件の中でできる工夫を考えていきます。担当の先生も、太田さんのこの言葉に感銘を受けていました。

課題を与えられる形の学習は、ともすると「やらされている」と感じやすくなります。だからこそ、限られた環境の中でどうしたら相手も自分たちも幸せになれるかを考える太田さんの声かけは、生徒を自分がおもしろがれる方へ促す、すてきな伴走だと思いました。働くときにも生きる、大切な考え方だと感じています。

「あなたもコーヒーデビュー」へ。オリジナルブレンドを考える

生徒たちは、コーヒーを初めて飲む高校生にも親しみやすいオリジナルブレンドを発案しました。酸味を抑え、ミルクや砂糖を加えてもおいしく、ホットでもアイスでも楽しめる味を目指しています。キャッチコピーは「あなたもコーヒーデビュー」です。

9月30日には太田さんに再び来校いただき、コーヒーの淹れ方を学ぶワークショップを行いました。生徒たちの考えた味を、太田さんと一緒に形にしていくための機会です。

写真:9月30日のワークショップ。太田さんから学びながら、生徒たちがコーヒーを淹れました。

文化祭で何を、どう届けるか。商品も運営方法も、これから生徒たちが検討を重ねていきます。自分たちの案を大切にしながら、実現に向けて考えるための問いを渡してくださった太田さんに感謝しています。

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